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塩味ビッテン
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素人青年が相場師として成長する物語なので、経済用語も容易です。経済小説ではとかく銀行は悪者にされますが、本書でも銀行の暗黒面が描かれていてちょっと痛快。でも実際の金に対する考え方が気に入らないなぁ。 
 主人公の青年が相場師に出会い、株式市場の波の中に身を投じて成長していくというストーリから想像するには、なんだか 金金金金といやらしい印象を受けますが、そこは「池袋西口公園」の石田衣良。そういえば「娼年」も主人公の青年がやり手ババアに出会い、男娼の波の中に身を投じて成長していくというストーリでしたが、なんだかセックスセックスセックスセックスといやらしくはならず、比較的軽く明るくまとめてありました。石田の作風なんでしょうね。

 大学を卒業したものの、プータロー生活をしていた青年・白戸則道は、「相場の魔術師」と呼ばれる株のディーラー・小塚に出会い、彼のアシスタントとして働くようになります。こうして株式のイロハを学んで、次第に相場勘を身につけてきた白戸です。小塚の目的は人生最後の大ばくち、大手銀行「まつば銀行」へ、相場で復讐することだったのです。

 主人公が素人に設定されているので、経済用語も容易です。経済小説ではとかく銀行は悪者にされますが、本書でも銀行の暗黒面がいろいろと描かれています。

 小塚老人のセリフ
「日本人は汗水かいて働いて稼いだお金が美徳として扱われやすい。金で金を生むのは、汗をかかない最低の仕事だと見なしているふしがある」。
塩味のような爺は「そりゃそうだ。一生懸命働いて金稼げ!!」と言いたいところですが、昨今は変わってきてるのかしら?

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塩味ビッテン
塩味ビッテン さん本が好き!1級(書評数:2220 件)

「本を褒めるときは大きな声で、貶すときはもっと大きな声で!!」を金科玉条とした塩味レビューがモットーでございます。

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この書評へのコメント

  1. 三太郎2019-06-16 20:27

    私ごとで恐縮ですが・・・実は僕の母方の祖父は戦前に兜町で相場師をやっていたらしい。若くして借金残して亡くなってしまったのですが、相場師になる前は仕事が長続きせず、職を転々としたらしい。汗水流して働くのが合わない人だったみたい。

    僕自身もその傾向がなくはないのですが(働くのが大好きではないという意味ですが)、「小豆相場には手を出すな」というがおばあちゃんの家訓?だったので、金融庁に何か言われても投機は信用していませんね。

  2. 塩味ビッテン2019-06-16 21:33

    三太郎さんコメントありがとうございます。相場師という仕事がある位ですから、プロとしてトレーニングして、社会・政治情報をきっちり分析し、刻々と変化する流通経済を把握していればそれなりの利益が得られるのでしょうが、それができる位ならもっと真面目な仕事でも成功するのではないかと考えます。相場師も楽して儲かるとはとても思えません。

  3. 三太郎2019-06-16 21:58

    まあ、想像するに、勝っても負けても自己責任という世界が良かったのかもしれませんね。僕はギャンブル嫌いなので解りませんが。

  4. 塩味ビッテン2019-06-17 13:14

    私も人生やお金を運にかけるほど、切迫しているわけないので堅実派です。

  5. No Image

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